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2017-03-09

20170215 ヒルギ林 (マングローブ) にて

at the Mangrove forest

マングローブとは、海水と淡水が混ざり合う汽水域の干潟で育つ植物の総称、
またはマングローブ植物で構成される森林を言う。
日本に生息する7種類の内、沖縄には、代表的なマングローブ植物ヒルギ3品種と
ヒルギモドキが生息する。


億首川マングローブ林(金武町)

Okukubi-gawa Mangrove forest


ヒルギ3品種とヒルギモドキ(北限)、計4種ともが見られるそうだがここでは遠景のみ。(品種の詳細は後述)

オヒルギ (Orange mangrove)
学名:Bruguiera gymnorhiza
メヒルギ (Mehirugi)
学名:Kandelia obovata
ヤエヤマヒルギ (Loop-root mangrove)
学名:Rhizophora mucronata
ヒルギモドキ (White-flowered Black Mangrove)
学名:Lumnitzera racemosa

メヒルギ群生エリア(上)とオヒルギ群生エリア(下)

エリアと言っても、ヒルギ類は灌水する深度や塩分濃度などによりそれぞれに適応した特徴を持ち、海水際から内陸部へと帯状構造を形成する。従って狭い帯域では混在も見られる。

メヒルギは板根と呼ばれる板状の呼吸根を発達させるが、若い個体はあまり扁平ではなく、印象としてずんぐり短いたこ足。膝根はオヒルギのもの。

オヒルギは高潮線ギリギリの所、3品種のうちでもっとも内陸側に生育し、もっとも背が高くなる。膝根と呼ばれる屈曲した呼吸根が周囲の地表に飛び出している。始めて遠目に見た時は枯れて倒れた株かと思った。
奥首川河口域の田畑
冬に咲き誇るコスモスは田圃に鋤き込まれて肥料となる(2月始め~)。
右上に少し見えているのが先に植えられ育ち始めたタイモ。

苗が植えられたばかりのタイモの田圃

タイモ (田芋)
里芋(Colocasia esculenta) の一品種らしい。
サトイモ科 Araceae
サトイモ属 Colocasia


慶佐次湾(げさし)のヒルギ林(東村)

Gesashi bay Mangrove forest


緩やかに湾曲した呼吸根はヤエヤマヒルギの支柱根。海側の最前面、塩分濃度の最も高い汽水・海水に最も浸水する帯域に生息。慶佐次がヤエヤマヒルギの北限。

オヒルギ (雄蛭木、雄漂木)
別名:アカバナヒルギ (赤花蛭木、赤花漂木)
学名:Bruguiera gymnorhiza
ヒルギ科 Rhizophoraceae
オヒルギ属 Bruguiera


萼片は赤、花弁は淡黄(左上葉陰)。中央の花は既に花弁が落ち、雌蕊が見える。右は蕾


長楕円形で先端にかけて細く尖り、基部は他のヒルギ科のより丸い。新芽や葉脈が赤い。

種子(胎生種子, Viviparous seed)
ヒルギ科の種子は果実の内部で発芽・発根し、果実の先端から太い根が伸び、やがて先端の芽ごと抜け落ちる。右の写真では種子が伸び始め。他2品種より太くやや角張り先端は尖らない。赤紫色。徐々に緑になるのだろうか、それとも個体差?

樹皮
丸型のごつごつした皮目がかなり目立つ。



屈曲膝根(木道の左下辺り)
水没しがちの酸素不足を補うための呼吸根。
根元(左側の一番太い幹)
基本的に支柱の必要ないエリア生息であり、また呼吸根として膝根があるのでメヒルギやヤエヤマヒルギの根のような発達はしない。


若苗
一年未満だろうと思われる。
胎生種子が芽が付いたまま実から抜け落ちて土壌に突き刺さる。
メヒルギ (雌蛭木、雌漂木)
別名:リュウキュウコウガイ (琉球笄)
学名:Kandelia obovata
ヒルギ科 Rhizophoraceae
メヒルギ属 Kandelia


3品種の中で一番小ぶりの楕円形。先端は尖らず丸く括れる。

極細の花弁・萼片とも白、開花は6月頃。


茶色がかった緑。細い5枚の萼片は反り返り、黄緑色に。すでに胎生種子が長く伸びている。

胎生種子
下部にかけて膨らみ、先端は尖る。充分な長さに成長するまでは淡黄色。徐々に緑に、そして赤茶に熟すようだ。

ヤエヤマヒルギ (八重山蛭木、八重山漂木)
別名:オオバヒルギ (大葉蛭木、大葉漂木), シロバナヒルギ (白花蛭木、白花漂木)
学名:Rhizophora mucronata
ヒルギ科 Rhizophoraceae
ヤエヤマヒルギ属 Rhizophora

花芽
クリーム色(萼片)。冬に形成された花芽の開花は翌年春以降、白い花弁には細毛が多い。



3品種の中で一番大きい楕円形で、先端に尖った突起がある。裏側には無数の黒点がある。


黄緑色の4枚の三角形の萼片が反り返りドングリ色の実が膨らむ。
胎生種子が伸び始め。
やはり初めは淡黄色。やがて緑に。この時点では分からないが、種子の表面にはツブツブがあり、先端はメヒルギほど尖らない。
メヒルギの胎生種子
Viviparous seeds of Mehirugi
木道に落下していたもの。
先端(向かって右側)は鋭く尖って硬く、土中に突き刺さるのに適している。
実の中に隠れていた部分(向かって左側)には芽が付いている。
一番下のは茶色に熟しているが、他のは緑色。
法面の蟹の巣穴(慶佐次にて)
脚が見える穴もあるがカニの種は不明。満潮になるまで水没しにくい位置。

慶佐次ではオキナワハクセンシオマネキやベニシオマネキ、ミナミコメツキガニが生息。


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